2013年7月12日金曜日

田んぼはつながっている (23/04/2010)

雨上がり。家の前の溝に、勢いよく山からの水が流れている。防水槽の手前で水があふれている。桜の花びらがたくさん集まっている。ブナの登校につきあって、Hさん姉妹との合流地点へ。桜の樹が濡れて苔が浮かび上がっている。妹のチアキちゃんが、おばあさんと一緒にやってきた。「ブナくん、おはよう。」といつもの低い声。「おはよう。」とブナ。お姉ちゃんのミユキちゃんが少し遅れてやってくる。今日は、途中までついていこう。 

二本の大きな杉が立つ神社の参道の前で,みんなでパンパン。Hさんのおばあさんが、「お地蔵さんがあって,となりの集落の人が毎日花とお水をかえてくれるんですよ。」と教えてくれる。今日は紫の花。田んぼの間の道を下っていく。おばあさんが畦にスコップを置いた。ワレモコウの葉っぱが茂っている。まあるい柔らかい葉っぱ。家へ持って帰って植えるそうだ。赤というか茶色というかたくさんの花が咲くんだって。僕は,ここで引き返す。おばあさんはスコップを畦に置いたまま、1キロ先の隣の集落の合流地点まで送って行くという。 

坂道を戻る。小さな道の両側から水音が聞こえてくる。斜面に並んだ田んぼには,土が固められた堤が築かれている。鍬一つでするんだろうが,左官屋さんのように見事な表面を作り、エッジをだしている田んぼもあれば,もう少しおおらかな堤もある。かまぼこ型のビニールの中には苗が育っているのだろう。田んぼの水はゆっくり動いて、堤の切れ目から流れ出していく。田んぼの脇の水路に出ると勢いを増す。石垣を組んだ田んぼの脇をどんどん流れていく。土管や塩ビ管を使ったジョイント部分もある。電車の線路の切り替えのような古い板や鉄板で、水の流れを変えるスイッチ部分もある。田から田へと水路が巡っている。道の下を通っているところもある。新しくコンクリートのマスが埋め込まれたところもある。水は下りながら,段々と集まって,小川ができはじめる。この辺りは,余野川の水源なのだ。 

足下の地面が、張り巡らされた血管のような水路と水でつながっているのを感じる。生きものの中を歩いているようだ。田んぼと田んぼはつながっている。川は流れ流れて、大阪湾へ注ぐ。海はインドネシアともつながっている。ジャワのパラントゥリティス海岸に注ぐオパッ川をさかのぼれば,ジャワの田んぼとだってつながっている、と妄想が膨らむ。 

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